ヘルスパークの健康マメ知識 胃の平和を守る

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胃の平和を守る

「胃」の仕事というのは、とにかくタフである。毎日何回もさまざまな食べものや飲みものを受け入れ、それを一時的にストックし、持ち主のために黙々と消化・殺菌という作業を繰り返しています。しかも、胃に入ってくるものは温かい冷たい、多い少ない、味が濃い薄い、アブラもの、アルコールなど何でもありなのです。

24時間稼働しっぱなしの心臓に比べるとそうでもないと思うかもしれませんが、胃は一回一回の作業が重労働なのです。あまり酷使すると、時にはストライキを起こし、仕事を放棄してしまうことがあります。こうなると苦しむのはむしろ持ち主(あなた)のほうになります。強烈な痛みや吐き気に襲われて、水さえノドを通らず、ひたすら鎮まるのを待った経験のある人も多いのではないでしょうか。

このように胃は非常にデリケートな一面も持っています。しかし、本来胃は、わりと丈夫にできています。そのため、持ち主がいたわりの気持ちさえ忘れなければ、胃はストライキなど起こさず、いつでもやる気いっぱいで働く臓器なのです。

食べものをストック

胃は食べたものをおなかの中に一時的にストックします。これには2つの理由があり、1つは食べものを「消化」するためです。そして、もう1つは口から取り込まれたものの「殺菌」を行なって、カラダの安全を守ることにあります。食べものによって胃の中の滞在時間が違うのも実はこの2つの機能と関係しています。

人間のカラダは食べものの栄養素をそのままの形で吸収することができません。消化とは、食べものをカラダに吸収しやすい形(栄養素)に分解することです。食べものを吸収するのは主に小腸の仕事ですが、食べものが消化されずにそのままの形で小腸に届くと、小腸は栄養素を吸収できないばかりか腸液が大量に分泌されて下痢を起こすこともあります(消化不良)。人間の消化管は、食べものがスムーズに消化・吸収されるように役割分担をしているのです。

胃の仕事その1「消化」

胃の仕事「消化」

胃からは、ペプシンという強力な消化酵素が分泌されています。ペプシンには、肉や魚などに含まれるタンパク質を「ペプチド」という形に分解する働きがあります。「ペプチド」がさらに分解されると「アミノ酸」になるのですが、これは主に膵臓が分泌する消化酵素によって行なわれます。このアミノ酸は、私たちがカラダを健全に保つためになくてはならない必須栄養素なんです。

胃は、食べものから必須栄養素アミノ酸を取り出すために重要な働きをしています。タンパク質の多い食事が胃の中に長く滞在しているのは、胃がタンパク質を消化するのに十分な時間を確保するためです。胃が消化するのはタンパク質だけではありませんが、「タンパク質を消化するのは胃の大きな仕事の1つ」です。胃は、食べものをストックしながら吸収しやすい形に消化し、小腸が栄養素を吸収するのを助けているんです。

胃の仕事その2「殺菌」

胃にはもう1つ、重要な役割があります。それは、「殺菌」です。殺菌は、胃に分泌される胃液によって行なわれています。腸は細菌やウイルスに感染しやすいため、これらが腸に侵入すると下痢や腹痛、発熱などの症状を起こしてしまうことがあります(急性腸炎)。胃液は、その強力な酸で、食べものとともに口から入ってくる細菌やウイルスを殺すことができます。胃は、食べものを消毒し、安全な状態で腸に送り届けるという重要な働きをしているのです。だからといって、何を食べても大丈夫というわけではありません。口から入ってくる細菌の量が多い場合には、十分に殺菌しきれないこともあります。また、細菌が食べものの中で繁殖し、毒素をつくっている場合には、たとえ胃酸で細菌は殺せても、この毒素が胃腸炎を起こすことがあります。胃酸は毒素を中和するまでの力は持っていないので、食中毒が起こるのは、この2つのパターンのいずれかに該当することが多いのです。

仕事の主役、それが胃液

食べものの消化・殺菌という胃の二大機能に深くかかわっているのが「胃液」です。胃液は胃の表面から分泌され、消化酵素(ペプシン)と強力な酸(胃酸=塩酸)を含んでいます。私たちのカラダは、1日になんと2リットルもの胃液を分泌し、食べものの消化・殺菌を行なっています。もちろん、胃液は四六時中出っぱなしというわけではありません。必要に応じて、適切な量が分泌されるように、カラダが自動的に調節しています。これは自律神経(副交感神経)の働きによるものです。

仕事の主役、それが胃液

たとえば、食べもののことを考えたり、おいしそうなものを見たり、食欲をそそるにおいをかいだりすると、カラダは食事に対してスタンバイの状態になり、胃液の分泌を開始します。実際に食事を始めて胃の中に食べものが到達すると、さらに胃液の分泌は増えていきます。そして、食べものが胃を通過して腸に届き始めると、胃液の分泌も減少するのです。

胃の攻撃と防御

胃は食べものをしっかり消化・殺菌するために、強力な胃液(消化酵素+酸)を大量に分泌する一方、胃そのものを胃液による消化から守るために粘液を分泌して胃の表面にバリアを張っています。それには、攻撃側と防御側の微妙な戦力バランスが要求されます。つまり、食べものの消化・殺菌を優先すると胃自体が傷ついてしまう可能性があり、胃の保護を優先すると消化・殺菌の機能が十分に発揮されない状況が生まれてくるのです。

胃がスムーズに機能していくためには、[攻撃因子]=「胃を傷つける可能性のある要素」と、[防御因子]=「胃を保護する要素」のバランスが重要になってきます。攻撃因子が強くなったり、防御因子が弱まったりすると、胃炎や胃潰瘍をつくりやすくなると言われており、胃は、攻撃と防御を同時に行なっているんです。なお、防御因子が強くなる場合には、あまり不都合はないとされています。

胃の平和を守る

胃を健やかに保つために一番大切なのは、[攻撃因子]と[防御因子]のバランスです。攻撃因子が強くなると、消化・殺菌の作用が胃自体に悪影響をおよぼし、胃炎や胃潰瘍の原因になってきます。ここ数年、胃の治療薬は飛躍的に進歩して、多くの胃潰瘍や十二指腸潰瘍は手術をしなくても治癒するようになってきました。制酸剤と呼ばれる胃酸の分泌を抑える薬が広く使われるようになり、薬局で購入することもできます。しかし、制酸剤は多くの胃の病気をスムーズに治療できる一方で、胃の殺菌機能が損なわれるおそれがあるとも言われています。胃は、ストレスや疲労の影響を敏感に感知するデリケートな臓器です。胃に不調を感じる時は、漫然と薬に頼ることはしないで、自分のライフスタイルを見直すことも必要になってきます。

胃の平和を守る

胃の調子が悪くなったら

最初はまず、胃にやさしい生活をするように心がけてみましょう。食事のリズムや量を整えて、胃に休む時間を与えるようにするのも1つの方法です。また、攻撃因子を抑えて、防御因子を補強するような食事メニューやライフスタイルを考えてみるのもよいと思います。しかし、症状が強い場合や長引く場合は、やはり医師に相談することが大切ですね。

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